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鳥井閑の実践的作詞作曲講座

鳥井閑の実践的作詞作曲講座in2BEAT
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-3- メロディーライン 2001年10月11日
 10月11日も私は会社帰りにまっすぐ2BEATへ向かった。鳥井閑の作詞作曲講座を聞きに行くことがすっかり習慣になってしまったようだ。その日は講座が始まる前に私はママからカントリーについて少し教えてもらった。ママはこの店で働き始めたころ特別カントリーのファンではなかったそうだ。むしろ田舎くさいダサい格好で歌うカントリーやフォークのシンガーはあまり好きではなかったという。そんな彼女がカントリーの世界に入ったきっかけは"ジョージ・ストレート"と出会った事にある。ジョージストレートはいわゆるカントリー歌手とは違ってとても都会的で、ルックスも最高。ママは一日に何回もジョージストレートのビデオを見るほどのファンとなり、それからカントリーやフォークにのめり込んだそうだ。
 最近のカントリーは当時に比べるとすっかり洗練されロックに近いものもあるが、それでもスチールギターやバイオリンを使用した演奏でカントリーらしさは失っておらず、若者を中心に人気があるという。アメリカではヒットチャートの一位に上るのはいつもカントリーだそうだが、若者を中心としているところをみると日本でいう演歌とは別の扱いなのだろう。最も2BEATに来る年配の御客さんは昔のいかにもカントリーというナンバーを歌うそうだが、若い御客さんになると少しそれも違ってくるようだ。もちろんカントリーやフォーク以外の曲も歌われる。店内にはカラオケも設置されているからどんな曲でもリクエストが可能である。 
 さて、この日はカウンターに中国は北京から来られた女の人がいて店内は国際的な話題で盛り上がっていた。この中国からの御客さんは日本語が完璧であるばかりか美空ひばりの歌が非常にうまい。とても高くて綺麗な声をもつ彼女の美空ひばりは素敵だった。
 美空ひばりでひとしきり盛り上がった後、綾ちゃんが"グッドバイジョー"を歌う。さすが綾ちゃん中国の歌姫に負けない歌いっぷりである。鳥井氏はその間に演奏前の腹ごしらえとアルコールチャージをしていた。今日、私はタラコスパゲッティ−とチリコンカンを頼んだ。チリコンカンは以前食べたチキンガンボと同じベースのスープであるが、仕上げに使うスパイスが少し違い、さらにスープの上にパンとチーズをのせオーブンで焼いたものである。パンにしみこんだアツアツのスープととろけたチーズがからみあう味は格別だった。
 第3回目の今日のテーマは"メロディーライン"である。すっかりお馴染みとなった鳥井閑が「じゃあ、そろそろ」とカウンターに入った。

「荒木一郎の"空に星があるように"という曲がありますがああいった感じのものをつくりたいなあと思ったら出来た曲です。」鳥井氏はそう言ってギターを弾き始めた。

   ♪風も時も♪

  風が明日に向かって吹くなら
  お前は風と歌っていればいいのさ
  爽やかな風に 頬撫でられて
  だけど、風は意地悪 昨日へ連れ戻すのさ
  風は意地悪 思い出を運ぶのさ
  お前は肩をすぼめて震え ただ、じっと耐えているだけ
  冷たい風が通り過ぎるまで

  時が明日を語るだけなら
  お前は時と歩いていればいいのさ
  口笛を吹いて 手を振って
  だけど、時は意地悪 思い出を語るのさ
  風は意地悪 昨日を刻むのさ
  お前はただ、うなだれて とぼとぼと歩くだけさ
  重い足を引きずりながら

  時も風も通り過ぎて行く
  風も時も去って行くけれど 思い出だけは今も残る
  風も時も去って行くけれど 思い出だけは今も残る
  今も残る 今も残る

流れるようなメロディーの聞き心地のよい歌であった。店内から大きな拍手が起こる。
この曲はなかなか好評のようである。
「次お願いしますよ。」御客さんの一人が次の曲を聞きたいと催促する。
「じゃあ次は、"旧道"という曲です。弓のことじゃないですよ!」
「これは小椋佳の歌程度のものなら自分でも出来ると思って、書いた歌です。」

 ♪旧道♪

  旧道へ出てみれば 欅の並木石畳
  秋の日差しが影映します
  こんな道が私の憧れ あなたの心にも見つけました
  人恋し落ち葉の季節 愛の気配が立ち込めます
  思えば二人は 眩い光浴びて
  愛の道しるべのないハイウェイを
  ただ、ひたすら走ってきましたね
  今歩くこの道は 欅の並木石畳
  愛の道しるべのようです

  旧道へ出てみれば 旧い家並白い壁
  日暮れの街が息づきます
  こんな街が私の憧れ あなたの胸で安らぐようです
  人恋し黄昏(たそがれ)時 ほのかな温もり伝わります
  思えば二人は 眩い光浴びて
  愛の道しるべのないハイウェイを
  ただ、ひたすら走ってきましたね
  今歩くこの道は 旧い家並白い壁
  愛の道しるべのようです

「小椋佳の歌とイメージがそっくりですね。」とマスターが驚いていた。
 鳥井氏の歌はどれもとてもやさしいく、その詩は聞く人に直接語りかけているようだ。
「曲はどういう風に浮かぶんですか?」カウンターの一人が質問した。
「いろいろですね、ふと浮かぶときもあればずっと考えてできるときもあります。ずっと考えててもしょうがないからどこかで見きりをつけてまとめ上げないと曲にはならないんですがね。」と鳥井氏はそう答えた。
この曲はどこかで旧い道に出会ったときにメモしておいたものからできたそうだ。
 
 店内はいつのまにかすっかり人が増え、奥のテーブルには予約が入ったようで"RESERVED"のプレートが置かれた。先ほどの中国から来られた方に、サラリーマンの二人連れ、娘さんと共に訪れた御客さんもいる。2BEATでは今夜も歌が、そして人が溢れだした。2BEATに流れる夜は鳥井氏の歌のようにとても緩やかでやさしい時間である。そんな時を過ごすためにたくさんの人がここを訪れるのだろう。

文責 ゆうき

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-3- 2001年10月11日
 
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