「フィリックスのカラオケスターベスト１０」
私の観察力はすごいでしょ。
- その人はＡさん、得意曲は「兄弟船」です。まず、１曲目は必ずこれを歌います。テーブルの上で船をこ漕ぎながら歌い、部下の頭を蹴る。
- その人はＢさん、得意曲は「山谷ブルース」です。思い入れがあるらしく、 「誰もわかっちゃくれないさ」「その日にゃな泣こうぜうれし泣き」と本当に感情を込めて歌うので、つい聞きほれてしまいます。たまに「どうせ三菱の一課長」と（自分のこと）替え歌しています。
- その人はＣさん、得意曲は「ろくでなし」です。鼻の穴にピーナツを詰めて、歌いながら、片方づつ、私の方に向けて発射する。パチンコ玉にように飛んでくる。
- その人はＤさん、得意な曲は「ボヘミアン」。他のお客さんの間でも評判です。巨体を揺らして踊る彼のあだ名は「きびんなデブ」
- その人はＥさん、得意な曲は「セクシャルバイオレットＮＯ１」です。いつも「ＳＥＸはバックがＮＯ１」と繰り返し替え歌で歌いまくり目をつぶり浸っている。いったい何を考えながら歌っているのか・・・・・・
- その人はＦさん、得意曲は「銭形平次」です。歌いながら、小銭をバラまく。しかし、百円玉と五百円玉は投げてくれない。
- その人はＧさん、得意曲は「涙のバースディ」です。歌は上手いかもしれないけど、ハウンドドックになりきって歌っているけど、亀のような顔、似てもにつきません。
- その人はＨさん、得意曲は「みちのくひとり旅」です。イントロの後、しばらく店の外に出て歌っている。それから、おもむろに店の中に歌いながら、入ってくる（この時、背広を裏返しに着てステージ衣装にしている）
- その人はＩさん、得意曲は「野風増」です。「自分の息子が２０歳になって一緒に酒が飲めるのうになった時に覚えた歌」というのはわかったから、毎回毎回同じことを言ってから歌いだすのはやめてください。
私も、もう、７，８回聞いた。
- その人はＪさん、得意曲は「星降る町角」です。来店時歌わない日はない。
「ＷＡＮＴ ＹＯＵ」のところを「ウォッシュ」トと言う。
途中で「ヒュルルルルルー」と舌を鳴らしたりして、うるさい。何回歌ってもこのパターンが崩れない。一度、かなり長い演歌のメドレーを歌詞を見な いで歌っていたのには驚きあきれた。上司は仕事でもこのくらいがんばってほしいと真面目に私に言っていた。
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