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コミュニティ・モデルとマスメディア・モデル
今回はネットビジネスの形態について簡単にまとめてみたいと思う。
前回は、電子商取引(EC)の適用分野には「B to B」(企業間の取引)と「B toC」(消費者向けネット販売)があり、消費者向けのビジネスを成功させるためには、「C to B」のセンスを持って進める事が重要であるという主旨を述べた。
最近ではオークションに代表される「C to C」分野も現れてきた。
更には、インターネットのビジネスへの適用という観点で、ネットビジネスの枠組みを広げてみると、「企業内」での利用も重要な分野として加えられる。ただし、これらはいずれも「インターネットを利用したビジネス」の適用分野を示している。

一方、「インターネットそのものをビジネス」の対象としている、いわゆるネット事業者には@niftyのようなプロバイダ型事業者と Yahooのような検索型事業者がある。
筆者の知人・友人の多くはインターネットの非専門家であるが、彼らが新聞・雑誌などに掲載されたネット関連の記事を読んで、分かりにくいと言う理由の多くは、上記適用分野のうちのどのあたりの話かが、頭の中で整理されていないためと思われる。
プロバイダの話やオンラインショッピングの話、さらにはネット株取引の話が同一紙面上に混在しているのを見て、「(彼らには)分かりにくいだろうな」といつも想像してしまう。

インターネットの適用分野の話はこのくらいにして、次にネットビジネスの形態についてみてみよう。
これにはいろいろと異論もあるだろうが、あえて分類すればコミュニティ・モデルとマスメディア・モデルに大別されると考える。変化が激しい業界なので、数年後には明快な分類方式が出てくるかも知れない。また両モデルを併存させて運営している事業者も多いので、多少分かりにくい事を覚悟の上で述べてみたい。

1990年代のネット時代の揺籃期をリードし、盛り上げてきたのはニフティのフォーラムなどを中心としたコミュニティ文化である。コミュニティ・モデルが定着していたと言える。ここでの収入の大半はネットへのアクセス料であった。
インターネットの普及とともにホームページによる情報提供が盛んになり、ネット事業者をはじめ各企業は無料で情報やコンテンツを提供し、自社のホームページへの「集客」に力を注ぐようになった。集まった顧客を対象にしてホームページ上に広告を打ち、広告費で稼ごうという目論見である。
民放型に例えられるマスメディア・モデルの誕生である。

電通の調査によればインターネット広告の市場規模は1999年で 241億円である。
伸びは大きいが規模としては未だあまり大きくはない。先日、大手新聞社の営業部長に聞いたいた話であるが、この数字が1千億を越えると、広告費の総額が一定の場合、新聞・雑誌の経営は苦しくなるだろう、との事である。
それでなくても、男性週刊誌をはじめ雑誌の売上が減少し、休刊・廃刊に追い込まれているところもあるご時勢である。

コミュニティ・モデルとマスメディア・モデルの現状を対比してみると、最近では後者の方が優勢のようだ。「集客して広告費で稼ぐ」というモデルは一見して恰好いい事もあり、コミュニティ・モデルは押され気味である。
「議論のための議論に飽きた」「煩わしい議論は避けたい」など、ネットコミュニティから退避した人達からはその理由が述べられるが、コミュニケーションのための新しい道具が少ない事も原因ではないかと思われる。新しい道具の出現が待たれる。
例えばコンピュータリブ社が開発中の写真コミュニケーション、あるいはインターネット・アルバムと呼ばれるサービス(http://www.mrcheese.co.jp)がある。
居酒屋の壁などに時々、ベタべタとパーティの写真などが張ってあるが、あの「ノリ」をインターネット上に展開したサービスである。
インターネットは元々コミュニケーションの道具である。MR.CHEESE のような道具がどのように普及して行くかは未知数ではあるが、コミュニケーションのための新しい道具がどんどん出てきて、ネット上のコミュニティが盛り上がる事が期待される。
筆者の好みも入れて予想させて頂ければ、両モデルが併存した形態が主流となり定着するものと思われる。全てを広告収入でまかなっている民放型ではなく、購読料と広告収入の両方で成り立っている新聞・雑誌型である。

Business@niftyコラム「eビジネスの現場」2001.01.09掲載

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