送別会のこころえ 1(栄転編)
3月は日本人にとってちょっとせつない季節です。
4月の年度はじめを控えて数々の別れが銀座にあふれるのです。
皆さん会社員生活においては、2種類の別れが存在します。すなわち「栄転」「左遷」です。
去る人の心はとてもデリケートですから、送る側としては2者それぞれに対して、きめこまやかな対応(私もふくめて)今回のフィリックスメールは2回にわたり送る側と送られる側、それぞれの正しい態度を考えてみたいと思います。
(栄転)
辞令を見て、誰もが「これは栄転だ」と納得できる異動というのはそう多くありません。現在のポストと異動後のポストを会社中の人が心の中で天秤にかけ
「これは出世と言えるのだろうか?あの人には何て声をかけたらいいのだろうか?」
と判断の心を悩ませるのです。当然のことながら周囲のものは、本人の前でそんな態度を示してはいけません。本人に聞こえるような場所で「あの人って栄転?左遷?」
などと言い合うのもタブーです。「疑わしきは栄転」と思うのが正解。本社で営業課長だった人が地方の営業所長になったという感じの微妙な異動の時も送別会における乾杯の発声は「ご栄転おめでとうございます」でなくてはならないのです。「同期の中で役員に一番のり」といったわかりやすい栄転の場合は、周囲のものも非常に気が楽です。「おめでとうございます」などとひたすら称賛の言葉を贈ればいいのですか
ら。しかし昇進した本人は、気苦労がたえません。
同じ部署には自分より先輩なのに自分より低いポストの人がいる。同期の中でも自分だけが出世。それらの人々に妙な刺激はあたえてくないものなのです。会社の中では誇らしげな顔などせず、
「いやいや、、、、」などと、ぼそぼそとお茶を濁さねばならないのでした。
|