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今、なぜASPか

コンピュータ処理は自前か、外部委託か
 業務のコンピュータ処理を自前で行うか、あるいは外部に委託するかは、極端な話、コ ンピュータが登場して以来比較検討されてきたテーマである。 銀行オンラインなど企業の基幹業務は、自社にコンピュータを導入して処理していると ころが多いので、委託による処理の比率は小さいとはいえ、そのニーズには根強いもの がある。 コンピュータ処理を請け負う事業者は「計算センター」や「データセンター」と呼ばれ てきたが、最近では「アウトソーシング・センター」とネーミングも変わり、事業内容 も拡大・充実の傾向にある。

 委託を選択する理由をざっと上げてみると、自社にコンピュータを導入して運用する体制がない事や、導入していてもオーバーフローした部分を補完的な意味で委託する事な どであるが、背景にあるのはコストミニマムの実現である。 中には精密機械部品商社の株式会社ミスミのように「持たざる経営」という経営理念に も基づき最初から委託しているところもある。 今、ASPが注目されているが、内容をよくみてみると何の事はない、昔からあるコン ピュータ処理の外部事業者への委託の一形態である事が分かる。 自前の処理形態(自社導入)との違い、アウトソーシングとの違いを簡単にまとめてみ ると以下の通りになる。

 
個別アプリ
共用アプリ
自前
自社構築
PKG
(パッケージソフト)
委託
アウトソーシング
ASP

アウトソーシングとASP
  アウトソーシングとASPは委託型という事では同じであるが、前者は自社向けに個別 に開発されたアプリケーションソフトを利用するのに対し、後者はレディーメードのア プリケーションソフトを活用するものである。 分かりやすい例でみてみよう。

  アウトソーシングの典型例として、従来自社で運用して いたシステムをレベルアップに伴い委託するケースがある。ネットワークの発達により 、自社内からアウトソーシング・センターのコンピュータを容易に利用出来るようにな った事も大きな要因である。 一方、ASPの典型例は、ASP事業者のセンターに搭載された市販のグループウェア のソフトを外部から使うケースである。

  世の中には様々な分類方法があり、ASPをアウトソーシングまで含めた広い概念でと らえる場合もある。逆に、委託処理全体をアウトソーシングとしてとらえ、ASPをそ の中に包含する場合もある。 ここでは上記の表のように個別アプリか共用アプリかで分 けておきたいと思う。


PKGからASPへ
  コンピュータ業界に身をおいた者として実態を述べると、日本では共用のアプリケーシ ョンソフト(パッケージソフト:PKG)を使う土壌が中々育たなかった。逆に言えば 、PKGビジネスが根付かなかったと言える。 ソフトに業務を合わせるか、業務にソフトを合わせるかの選択であるが、コンピュータ 処理のために自社の業務フローを変更し、市販のソフトに合わせる事などはとんでもな い事だったのかも知れない。

  ところが時代は変わりIT革命の時代である。パソコンがコンピュータの非専門家であ るビジネスマンの机にまで置かれるようになった。インターネットも普及して、ちょっ と頑張れば世界中のホームページにアクセスし、新鮮な情報を入手出来るようになった 。

  今までEDP(Electronic Data Processing) 部門が司っていたコンピュータやネットワークの環境が一変してしまっ たのである。 自社の業務にソフトを合わせるとなると、EDP部門が活躍して個別にソフトを開発し なければならないが、会社中にばらまかれたパソコンとインターネットが喚起した、現場のコンピュータ処理のニーズを満たすだけの面倒を見る余裕はなくなってしまったの である。

  EDP部門の支援がなくてもコンピュータ処理が出来る環境が求められるよう になった。インターネットというスタンダードなインフラのもとで共用のソフトを利用 するASPへの期待が膨らむのは自然の成り行きであった。 利用する方でも「自社の独自性」を要求する事は少なくなった。 ここまで延々と続いてきたEDP部門といわゆるエンド・ユーザ部門との対立に終止符 が打たれた。

  先日、「計算センター」の会社で、長年営業をやっていた人と会話する機会があった。 その昔、顧客の現場からオンラインで「計算センター」に搭載された給与計算のソフト を使う仕事を受注した事があるが、中々うまく稼働せず顧客からお目玉を食らった、と いう話が出た。古典的な事例だが、ASPの原型と言えるものである。 あまりよく覚えていないが、NTTが提供していたDRESSというサービスもASP と形態は同じではなかったかと思われる。 大きく違うのは現在のASPはインターネッ トというスタンダードのインフラの上でサービスされている事である。


ASP活用のメリット
  ASP活用のメリットとしては以下の事があげられるが、これらは噛み砕いてみれば、 「委託」及び「共用」のメリットという事になる。

前にも述べたが、根底にあるのはコ ストミニマムの実現である事は言うまでもない。
設備、運用要員などのインフラ不要(固定費の削減)
技術革新へのフォロー
追随が素早く出来る(最新情報、知識の活用)
新規事業への進出、シフトがスピーディに出来る(スピード経営の実現)
  提供されているサービスとしては、グループウェア、ERP(Enterprise Resource Pla nning)、業種特化のアプリケーションなどがあげられるが、今後は中小企業向けの会計 処理を安価に行うサービスや、業種別、分野別の情報提供と連動したサービスなどが普 及するものと思われる。

  顧客の現場からインターネットを通じて利用するのが基本であるが、利用目的に応じて 、臨機応変にソフトの一部を手元のパソコンにダウンロードして利用する形態もある。 科学技術計算などで手元のデータベースと連携する場合や業務処理でカストマイズ要素 がある場合など手元のパソコンに取り込んだ方が効率的な処理が出来るからである。

  話が全く逆になってしまったが、ASPはApplication Service Providerの事である。 それでは他にどんなサービス・プロバイダがあるかと言えば、

ISP(Internet Service Provider)いわゆるインターネット接続事業者
CSP(Contents Service Provider)単にIPとも呼ばれるコンテンツ提供者
NSP(Network Service Provider)企業向けネットワークサービス提供者 などである。
  EC(Electronic Commerse) もASPの一分野として位置づけられる場合もあるが、こ ちらは「場の提供」サービスでありASPとは区別してとらえた方がよさそうだ。

http://const.nifty.com2001.01.13掲載

 
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