有限会社イーアレー
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インターネットを活用したビジネス事例 
「ホームページ予約システム」
株式会社リバーストン http://www.yaen.com
 飲食店のお店のホームページは、わりと利用されているようで、されていない。お店側は集客目的でホームページを作る。ホームページで料理の写真やメニューは見れても、ホームページで席の予約ができない。予約は営業時間中に電話というところばかりです。
 
 どうしてだろうか。それは、予約が1冊のノートで管理されているからである。1冊のノートで管理すれば二重予約の事故は防げるからだろう。
 もうひとつは、パソコンを使える店員さんが少ない。この昔からの習慣をなかなか変えられないでいる。

 ここに紹介する「野宴」は、3年前からホームページの予約に取り組んできたが、今年になって毎日ホームページからの予約が来るようになった。飲食業でホームページからの予約を受け付ける数少ない事例といえる。

■「野宴」のはじまり

 今、大阪駅前周辺は、ビアガーデン戦争が起こっている。その中のひとつに、新阪急ビルの屋上ビアガーデン「野宴」がある。
 「野宴」は1999年5月にオープンして、今年で3シーズン(3年)目になる。野宴をプロデュースするのは、株式会社リバーストン(本社・大阪府箕面市)・吉田社長(43)。
 
 吉田社長は、大阪・名古屋・横浜・川崎・新宿・筑波に居酒屋「浪花ろばた八角」(以下 八角)[www.hakkaku.com]11店の出店とプロデュースを手がけた。そして、リバーストン(平成11年度グル―プ売上 25店舗 34億200万円・従業員数 社員110名、パート・アルバイト約700名)の経営者でもある。
 
 吉田社長は、先代から会社を引き継いで13年になる。吉田社長率いる「八角」は、ちょっと変わった居酒屋だ。変わっているのは裏側(BackOffice)。各店舗には、店長と2〜3名の社員がおり、お店のメニュー作りや仕入れなどは、全て店長に任されているので、各店舗でメニューが違う。

■一人一台のノートパソコンと3つのパティオ

 さらに変わっているのはここからで、吉田社長は、各店の店長をはじめ、社員と本社の経理・総務の幹部にB5サイズのノートパソコンとNIFTYのIDを与えた。さらに、NFITY上の会議室(パティオ)を3つ用意した。

1つめは「ルーム オブ 八角」、ここでは、店に関する情報が八角全店から寄せられる。例えば、食材の値段や、季節の売れ筋、気をつけなければいけない情報など。

2つめは「戦略会議室」、ここでは、前日の日報をデータベースに入力し、集計された速報がアップされ、社長からの要求もこの会議室に書き込まれる。

3つめは「箕面の森」、ここは井戸端会議室で、仕事以外のこともOK。
 
 八角は、表からはITで武装しているようには全然見えないが、裏では違う。
 以前、名古屋に新店舗を出店するときには、この会議室を新たに1つ用意して、そこで新店に必要なリソースを整理していった。社長から5年間の経営計画、大阪の店長からはお酒のメニュー、横浜の店長からはおつまみのメニュー、レジやコピーなどの事務用品もメーカーの担当者を会議室に参加させて打合せをし納品された。こうして開店まで交わされた会議室のログがそのまま、各自のパソコン上に保存され、次の店の出店マニュアルとなる。

 吉田社長は、ノートパソコンと電子メールと会議室を上手く使って、社員にパソコンの使い方、経営感覚、計数管理の教育をしている。

■1999年2月

 吉田社長はビアガーデンを出店することを意思決定した。しかし、吉田社長がビアガーデンをプロデュースするのは、はじめてのことだった。
 ビアガーデンは八角と違い、営業日数(5月〜9月初旬)が限られている。その中でお客様にどのようなサービスをして、採算を取っていくかが腕の見せどころでもあった。
 
 吉田社長は、まずお店のネーミングを「野宴」と決めた。そしてすぐ「YAEN.COM」ドメインの取得手続きをした。
 吉田社長は、飲食店も近い将来、ホームページを通してお客様にいろんなサービスを展開できる時代がくると考えていた。
 吉田社長が考える飲食店は「お客さまがお店に来てからサービスをするのではなく、お客様がお店に来る前からどれだけサービスができるか」であった。吉田社長は、お客様のサービスを向上させることに、とことんこだわる。

■1年目(1999年)
 野宴の営業時間は17:30〜21:00まで、席数は800席。メニューを「バーベキューの食べ放題とビールの飲み放題」にした。
 とりあえずホームページを立ち上げ、簡単な予約受付フォームを作り、ホームページからの予約を受け付けることができるようにした。

 ホームページ作成や運用は、専門会社に全て外注した。開設にかかった費用は80万円、ホームページからの予約人数は400人(1年目客数20,226人)。費用対効果はプラスマイナス0だった。

■2年目(2000年)
 吉田社長は、前年のデータを活かして動いた。バーベキューの食材が美味しく焼けるように、バーベキューのスタイルをそれまでのジンギスカンからセラミック炭を利用した遠赤外線で焼くスタイルに切り替えた。
 ホームページからの予約にも本格的に取組み、バックオフィスにデータベースを入れ、予約システムを構築した。予約されたデータは、データベースに直接入力され、一括で使い慣れた分析ソフトで集計できる。
 2年目のホームページからの予約人数は1,200人(2年目客数27,109人)。この年も費用効果はトントンでした。

■3年目(2001年)
 3年目の今年、吉田社長は、「野宴ヴィジョン」と名づけた大きなスクリーンと、いい音の出るスピーカーを店内に設置し、お客さまはビールを飲みながら、大きなスクリーンでテレビのスポーツ中継を見ることができるようになった。また、雨の日でも営業できるようにテントを設置し、ホームページの活用もさらに力を入れて考えました。

 開店前の4月に作成し配布したチラシに「www.yaen.com」のようにドメインを入れ、「ホームページからも予約できます」と強調した。看板や配布物には、必ずドメインを入れ、ホームページのトップページに、ご意見箱を設け、お客様の意見をすぐにホームページや営業に反映させる体制を作った。
 ホームページの更新を外部に一切任せ、お客様も一緒に楽しく野宴を作り上げていけるような演出にした。

 そして、5月8日、2001年の野宴がオープンした。店長はお店に来ると、パソコンを起動して電子メールを見る。去年の5、6月の予約件数は0件でしたが、今年はホームページからの予約があった。5月のホームページからの予約人数は1,083人、この段階で去年1年間の予約人数に迫る人数であった。
 
 毎日、電子メールの送受信をするたびに予約が入ってくる。6月の予約人数は2,950人、7月は3,738人の予約人数がありました。7月20日現在の昨年の客数は12,091人で、今年は22,235人、うちホームページからの予約は7,771人で全体の35%になる。
 
 吉田社長のホームページ戦略が3年目にして開花した。
 ホームページからの予約件数が急に伸びた理由は定かではなく、ホームページで成功するという方程式は、まだ確立されていないが、現時点で考えられることをいくつか挙げると、
1.3年目になり、お店の認知度があがった。
2.お客様に楽しんで、満足していただけるために、毎年改善や新しいサービスを提供している。
3.リピートのお客様が増えた。
4.外注でホームページを毎日更新している。
などの理由が挙げられるのではないだろうか。

■今後

 吉田社長にとって、ホームページからの予約がこんなにくることは嬉しい誤算でした。
更にお客様が予約しやすいように、予約システムの機能を追加しようと考えている。
 現在、お店の予約は「電話からの予約」・「来店時の予約」・「ホームページからの予約」と3タイプある。
 電話や来店時の予約は大学ノートで管理し、ホームページはWeb上のデータベース(予約システム)で管理している。これをすべてWeb上の予約システムに一元化して、お客様からの予約に誰でも即時対応できるよう、二重予約などの事故がないようにシステムを作り変える。

 それには、予約システムの画面上に、予約人数と件数をリアルタイムに表示できるようシステムを変更をし、ニーズに合わせi-modeからも予約受付ができるようにする。

 予約システムで予約されたデータは、そのままお客様のデータベースとして使える貴重な情報です。予約データをホームページで集計して、エクセルで扱えるファイルにダウンロードすることができる。そうすることで、吉田社長は次の戦略を打つことができる。
 
 お店は、お客様に素早くお礼のメールやハガキを出したり、オフシーズンのご案内を低コストですることができる。

 吉田社長は、すでに2002年を考えています。
 ホームページからの予約は、お客様サービスのひとつの道具にすぎない。
予約して来て頂いたお客様を、どんなサービスでもてなそうかばかりを考えている吉田社長が、来年のサービスにどんなアイディアを盛り込むのか、今から楽しみである。

(文責 中島正雄)


 
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