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IT事例 IT事例導入紹介

「FIFA2002年ワールドカップにおけるIT活用」
サッカーファン待望のワールドカップがやってきた。
優勝の行方は?日本チームの活躍は?チケットは手に入らないのか?テロやフーリガン対策は?
興味や心配の種は尽きないが、ここではワールドカップにおけるITの活用状況についてみてみたい。
JAWOC(下記参照) 総務局情報通信部長の澤本昌明さんに概要をお聞きした。

1.FIFA2002年ワールドカップの運営体制

国際サッカー連盟 (FIFA)
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FIFA2002年ワールドカップ組織委員会
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2002年FIFAワールドカップ
日本組織委員会(JAWOC)
2002年FIFAワールドカップ
韓国組織委員会(KOWOC)

FIFA :Federation International de Football Association
JAWOC:Japan Organising Committee for the 2002 FIFA World Cup Korea/Japan
KOWOC:Korean Organising Committee for the 2002 FIFA World Cup Korea/Japan

詳細は http://www.jawoc.or.jp 参照

FIFAがWorld Wideで16社のオフィシャル・スポンサー、日本、韓国で各6 社のオフィシャル・サプライヤーと契約。
商品カテゴリーが重複しないようにし、原則スポンサー以外の商品は使用出来ない。

2.FIFA2002年ワールドカップの情報通信(IT)の運営とスポンサー

(1)FIFA 主導のIT運営
 前回仏大会までは開催国組織委員会が自ら手掛けた。
 米、仏大会のSIはEDS が担当、HPやCANON などが参画した。
 今大会からFIFAがワールドワイドのスポンサーシップにより構築・提供し、JAWOC はシステムを作らずユーザとして利用する。
 目にみえた新技術は特にないが、ワールドカップにおいて音声とデータを統合したネットワークを導入するのは初めてとなる。

(2) ITスポンサー決定が難航
 仏大会では開催の3 年前に決定、充分な準備期間があった。
 通信NWは仏テレコムが参画。当時デジタル網の全国展開中で地方へ設置予定の機器を予定変更して大会用に活用 (期間中無償提供) し全面的に協力した。

 米、仏の2大会継続してSIを担当したEDS が今回は辞退した。
採算性の問題と推察されるが、EDS のCEO が3 年前に交代し方針変更がなされ、99春先に降りると宣言された。
 長野などのオリンピックを手掛けたIBM をはじめ他の大手SI事業者も手を出さなかった。
FIFAの現IT責任者であるグイユ氏は仏大会当時はEDS のスポークスマンであったが、2年前にFIFAがスカウトした。
 グイユ氏の人脈でEDS にいた人達がユーロテック社( 登記上は英国企業) に参画し、 ここが今回大会のSIを担当することとなった。
 同社は主に米仏人からなり、マイナーな大会でのSI経験があり、役割的にはFIFAの代理人的位置づけである。

2001年春にイベントオーガナイザーとして今大会のスポンサー集めをやっていたISL (International Sports & Leisure)社が倒産した。
FIFA Marketing 社が ISLの経営責任のないメンバーを中心に集め設立され、急遽スポンサー集めを開始した。
プリンタなどのOA機器は2001年春に富士ゼロックスに決まっていたが、全体が出揃ったのは2001年 7月で、大会まで1年足らずの時期であった。
パソコンとサーバは東芝、NW機器はアバイヤ(AVAYA) 、ケーブリングやNWサービスはNTT グループに決まった。
会場、施設では原則スポンサー商品を使うことになる。
 アバイヤ社はユーロテック社同様に聞き慣れない名前だが、ルーセント・テクノロジーから分離独立した会社で、具体的には各会場を結ぶネットワーク機器を提供する。
 Official Convergence Communication Provider (公式統合通信プロバイダ) という新しいカテゴリーでの協賛である。

3.ローカル運用

 上記のようにワールドカップのIT活用は今回からFIFA主導の元に行われるが、開催国側ではどのように運用されるのであろうか。
 日本語化や現場教育、以下に出てくるIMC の現場のエンジニアリング・サポートなどを行うローカルSI事業者は、システム開発を行うシュルンベルジュ・セマ社 (仏、スペインに拠点のある会社で今回の開発は同社バルセロナが主体) をサポートする形で活動することになる。
 選定は全体のSI事業者ユーロテック社が窓口となり、6社競合の末、株式会社シーイーシー(CEC) に決定された。ソルパック社がCEC に協力する。
 ここでも契約はFIFAとの間に交わされている。

4.主な業務

 システムはアクレディテーション、プロトコール管理、ボランティア管理、INFO2002(Information System)、リザルト( 結果集計) からなる。

アクレディテーションでは要人、FIFA関係者、スポンサー、 JAWOC・各国サッカー協会関係者、報道関係者等の観客以外で会場内に出入りする全ての人を対象に、申請者別に許可された立ち入り可能な範囲を明記した、首に掛ける入門証の発行の可否の審査を行いかつ発行・管理を行う。

 プロトコール管理では各国政府・FIFAのVIP(要人) に関する情報管理を行う。

 ボランティア管理(Staff Information System)ではボランティアの配置、ローテーションの管理を行う。

パシフィコ横浜の4コマの展示場全てを4月から大会終了まで借り切り、IMC(Inter- national Media Center)を開設する。その中にメイン・プレス・センター(MPC) と国際放送センター(IBC) が入り、1万数千人の記者に対応する。
 各スタディアムの中には Sub Media Center (SMC) が設けられ、IMC とネット連携される。
イントラネット化された館内には東芝製のパソコンが 2〜3 百台設置されるが、記者保有のパソコンは他社製品の持ち込みも許される。
 記者はここで試合の経過や結果を、INFOシステムから取り込んだデータ等も交えながら記事にし、発信する。
 情報へのアクセスは無料、センター内の回線利用も無料だが、外部への送信は有料である。
 Information System は日韓双方でバックアップが取られる。
 IMC および各スタジアムのSMCにはヘルプデスクが設置されるが、これはJAWOC 契約となり、NEC フィールディングが担当する。

リザルト(結果集計)はデルタトレ社というイタリアに拠点を持つ会社が担当する。

5.インターネット、映像、チケッティング

インターネットによる情報提供は別体系で運営されるが、これはYahoo!が担当する。
  (http://www.fifaworldcup.com)
 余談だが専用サーバはロンドンに1 つ、米国に2 つ設置される。
欧米間よりもアジアでの回線事情が良くないとのYahoo側の判断で、日韓両国にはデーターセンターは設置されないという。
http://www.jawoc.or.jpは共同通信に委託し、運用される。

 国際映像はHBS(HOST BROADCAST SERVICES)社により提供される。
 コンテンツ作成はFIFA広報 (実際は下請け) が担当し、JAWOC とKOWOC が協力する。
延べ330 億人がTV観戦するものと思われるが、放映権は高騰している。
仏大会での日本の放映権は4 億円であったが、今回は提示が250 億円で実際契約金額は180 億円と推定されSKYPERFECTV で全試合、地上波で40試合が放映される。

チケッティングに関しては第1次はFIFAが主導し、データセンターも海外の会社が運用したが、JAWOC の再三の懸念表明にもかかわらず、FIFA側がインターネット受付を強行し混乱を引き起こしたため、殆どが郵送による受付となったことは記憶されている方も多いと思う。
第2次は電話受付だけとし、ピアのコールセンターに委託した。
先ごろ同様なシステムで最終回にあたる第3次の販売を行い日本での32開催試合のチケットは完売した。
チケット印刷はイギリスのバイロム(BYROM) 社がFIFAの要請を受け日韓とも彼らがイギリスで行うこととなっている。またチーム対応のチケットを購入した人にはバイロム社がトーナメント対応発券システムをもっており、期間中の運用管理はJAWOCではなくバイロム社が行う。

                            以上


 
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